私は幼い頃から当たり前のように、
社会に対して怒りや不満を抱えて生きてきた。
しかし当たり前すぎて、自分の中に溶けていた。
そのため自分の外に出そうと考えたことがなく、
長年会社員として普通に働いてきた。
そして、30代半ばを過ぎて色々なものを手に入れても
自分の不足感が尽きないことに疑問を覚え、
徹底的に解消しようと紆余曲折、七転八倒した。
アートとして自分を表現することがそれを解決する唯一の術であるとわかったのは、
40代に入ってからだった。
私は当初、社会的な問題に対してさまざまな視点で創作をしていた。
ところが同時に、自分がアートで表現するという事に異常に抵抗感を感じる自分がいて、創作や発信に逐一苦悩するという個人的な問題にも直面した。
創作活動を進める中で、この2つの問題について深く深く問いを繰り返した。
そうして5年ほど経ったある時、この2つの問題の根源が「人間の内側」に共通する同一のものであるということに気がついた。
しかしながらその根源は、言葉にすればシンプルすぎて深く届けることができない。
だからこそ、アートを通じてしか表現できないものであると、あらためて認識した。
同時に私がなぜ「幼い頃から社会に対して怒りや不満を抱えていたのか」、そして「自分がアートで表現することにこれほどまで遠回りし、その後も苦悩しているのか」についても理由がわかった。
それは、私が「人間が大好き」だったからなのである。
見返してみれば、私の作品はすべて「人間という生き物へのラブレター」になっていた。
私はこれからも、この強い思いをどのように、そしてどうしたら「人間」に届けられるのかを問い続けながら創作を続けていくのだろう。
2026.06.29
mienaimonotachi
みえないものたち

